今回は「聴力検査」について知っていただきたいと思います。
検査は防音室や静かな部屋で行われ、ヘッドホンから聞こえてくる音の聞こえ具合を調べます。
まず聴力を測定するに当たり、2つの単位が登場します。
- 音の高さを表す周波数=Hz(ヘルツ)
- 音の大きさを表す音圧=dB(デシベル)
検査では低音(1000Hz)と高音(4000Hz)の2種類を使います。
低音(1000Hz)は0~30dB、高音(4000Hz)は0~40dBが基準値です。
低音の基準値となる30 dBは「新聞をめくる音」や「深夜の郊外」程度の騒音、高音の基準値となる40 dBでも「静かな住宅地」や「図書館」程度の騒音とされています。
ちなみに基準値が0 dBから始まるのは、聞こえの良い人達が聞き取ることが可能な一番小さな音の平均を「ゼロdB」としているからです。それよりも小さな音で聞き取る事が出来れば、マイナス デシベルとなります。
基準値から外れた場合、外耳から中耳に障害のある伝音難聴、内耳や聴神経に障害のある感音難聴が考えられます。また、年齢とともに高音(4000Hz)の聴力は低下するため、高齢者では40dB程度聞こえれば異常なしと判定されることもあります。
ここがポイント!
聴力検査はなぜ2種類の音で調べるのでしょうか?
「騒音性難聴」という病気があるため、2種類の音を使用します。騒音に長期間晒され続けていると、4000Hzなどの高い音が聞こえにくくなることがあります。
そのまま防音などの対策が取られないでいると、段々と低い音も聞こえにくくなり、1000Hzの低い音が聞こえにくくなると日常生活にも支障をきたすと言われています。
その症状がないかどうかを健康診断で発見するため、2種類の音を使用して検査を行う必要があります。
また近年ではヘッドホンやイヤホンを使用して音楽を聴いている人も多く、大きな音で聞き続けることにより本人が気づかないうちに「音響性難聴」が起こることがあります。これは「ヘッドホン難聴」あるいは「イヤホン難聴」と呼ばれ特に問題視されています。 重症化すると聴力の回復が難しいため、定期検査を心がけるのはもちろん、検査の結果が要精密検査となった場合には必ず医療機関を受診しましょう。
左右差がある場合、突発性難聴などの一側性の病気が隠れていることがあります。日常生活に支障が出ないこともあるため、気づかず、放置してしまうこともあるようです。片側だけだから大丈夫だろう、日常生活に支障がないから大丈夫だろう、と決めつけるのは危険かもしれません。
(先天性の聴力低下や、加齢性の変化による継続的な聴力異常と診断されている場合は、経過観察や加療中として対応させていただきますので、問診の際に既往・原病としてお申し出ください。)