腎機能検査

今回は「腎機能検査」について知っていただきたいと思います。
腎機能検査は人間ドックにおいて採血検査や尿検査に含まれています。

腎臓は握りこぶしほどの大きさで、左右の腰のあたりにある臓器です。血液の中の不要な老廃物を捨てる『尿』をつくるのが大きな役割です。尿に水分や塩分などを排泄することで血圧を調節したり、人体を弱アルカリ性に保ったりしていることから、からだの「ろ過装置」とも呼ばれています。その他、骨を作るビタミンDの活性化や、赤血球を作るホルモン(エリスロポエチン)を作ったりしています。


血液を濾過して大事なものとゴミとを選り分けている腎臓に障害が起きると、尿のなかにタンパク質や赤血球が出てきます。これが尿タンパクや尿潜血です。また尿を遠心分離機にかけて沈殿する固形成分を調べることで、がんや炎症、感染症などをみつけることもできます。

血液中のクレアチニンは筋肉を使ったりすると産生され、腎臓で濾過され尿に捨てられます。腎臓の働きが悪いとクレアチニンが血液中にたまってしまうことになります。
筋肉の量は年齢や性別でも違いますので、クレアチニンの基準値には性差があります。

eGFR(estimated glomerular filtration、推算糸球体濾過量)は、

【eGFRの計算式】194×血清Cr-1.094×年齢-0.287 (女性の場合は×0.739)
で求められる数値で、腎臓の機能を示します。eGFRが60未満の人を慢性腎臓病(CKD)と診断します。eGFRは性差や年齢を考慮して算出されるので、クレアチニン値のみで判定するより早期から腎機能の異常を見つけることができるとされています。

現在日本では約30万人が透析療法中で、年間約3万人が新たに透析導入に至っています。早期に腎臓の異常をみつけ、透析に至らせないようにすることが健診に求められています。要精査と言われたら、たとえ症状がなくともしっかりと精密検査を受け原因を調べていきましょう。

加えて・・・こんなオプションも!
尿中微量アルブミン検査
アルブミンは肝臓で作られるタンパク質で、血液中のタンパク質の60-70%を占めています。腎臓が傷んだときに尿の中に最初に漏れ出すのがこのアルブミンです。糖尿病で腎臓が傷む『糖尿病腎症』の早期においては、尿タンパクは陰性で腎臓の機能(eGFR)は正常のためなかなか気づけません。しかし糖尿病のコントロール不良が続くことでアルブミンが尿中に少しずつ漏れるようになり、だんだんと増加していきます。アルブミン尿が微量(30mg-300mg)の時期に危険を察知し、きちんと糖尿病の血糖値をコントロールすることができればアルブミン尿は減っていくとされています。しかし、ひとたび顕性蛋白尿になってしまうと腎機能の悪くなるスピードは上がっていきます。早期発見・早期治療が大事です。

尿中微量アルブミン検査は以下の病院で実施しています。(※人間ドックのオプションとなります。)
県北医療センター高萩協同病院

検査の結果が要精密検査となった場合には必ず医療機関を受診しましょう。