糖代謝検査

今回は「糖代謝検査」について知っていただきたいと思います。

糖代謝検査は、糖尿病をみつける検査で血液検査と尿検査があります。

糖尿病の方は、血液の中に処理しきれない糖があふれてしまっている状態(高血糖)になってしまっています。

血液検査の「血糖値」と「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」は糖の処理能力を反映している数値です。

血糖値は血液の中のブドウ糖濃度を示しており、食後の経過時間によって数値に影響がでます。
健常者の食後血糖値は1時間値が最も高いとされます。また10~14時間空腹の状態が続くと血糖値は比較的安定するとされ、これを「空腹時血糖値」とよびます。そのため健診では空腹での血液検査をお勧めしています。

HbA1cは赤血球中のヘモグロビンという赤色素タンパク質が糖と結合している割合を示したものです。過去1~2ヶ月の生活を反映すること、血糖値と異なり直前の食事などに影響されないことから、糖尿病コントロールの指標に使われています。
空腹時血糖値の正常域は110mg/dl未満とされ、空腹時血糖値が126mg/dl以上もしくはHbA1cが6.5%以上を糖尿病と判定します。



通常は尿一般検査で尿糖を検出されることはありませんが、血糖値が高く尿細管からの再吸収が追い付かない場合や、血糖値の上昇がなくても腎臓がブドウ糖を排出しやすくなっている場合に尿糖が検出されるようになります。
もし陽性(+)になった場合には再検査が必要です。特に(2+)以上であった場合は、血糖が上昇しやすい食後であったとしても、糖尿病に相当する高血糖が存在する可能性があります。
ただし、ステロイド剤を服用している場合や、妊娠している場合など一時的に陽性になる場合もあります。また、病気ではないのですが、腎臓でのブドウ糖再吸収の力が落ちているため血糖値が正常でも尿糖が陽性となる腎性糖尿という状態もあります。この場合、糖尿病ではないですので血糖値やHbA1cに異常は認められません。

血糖値がとても高くなると非常に喉が渇いたり(口渇)、尿量が多くなったり(多尿)、食べているのに体重が減ってきたり(体重減少)しますが、糖尿病は基本的に自覚症状がない病気です。
気付けないまま血糖の高い状態でいると、知らぬ間に血管が傷み合併症を引き起こしてしまいます。ひどくなると人工透析になったり失明したり、壊疽(えそ:皮膚や皮下組織などが死滅して暗褐色や黒色に変色する病気)で足を切ることになったり、心筋梗塞や脳梗塞をおこしてしまいます。そうなってからでは手遅れなので、糖尿病は症状がなくても油断できない怖い病気なのです。

ぜひ前年の健診結果と比べてみて、最近の自分の生活を振り返るよい機会としてください。

またHbA1cがうまく測定できない異常ヘモグロビン症という個性をお持ちの方もいらっしゃいます。その場合は空腹時血糖を参考に判定いたしますし、糖尿病の診断をつけるためには専門科を受診して75gブドウ糖負荷試験という他の検査で精密検査を行っていきます。

検査の結果が要精密検査となった場合には必ず医療機関を受診しましょう。