腹部超音波検査

今回は「腹部超音波検査」について知っていただきたいと思います。

腹部超音波検査は、おなかの表面にゼリーを塗り、超音波を発信する装置(プロ―ブ)を押しあてることで、胆嚢、肝臓、膵臓、脾臓、腎臓、腹部大動脈の異常を早期に見つけることを目的としています。

放射線検査のように被曝することもなく、検査時間は10分程、特に痛みを伴う検査でもないため、身体的負担は少ない検査です。検査をして見つけることのできる異常は、腫瘍、がん、石灰化、嚢胞、結石、など、多岐にわたります。

反面、内部にガスを多く含むと画像がとらえにくくなるため、肺や胃、腸などは詳しくみることがむずかしいとされています。また膵臓は奥深い場所にあるため見えにくくなります。
腹部超音波検査でうまく描出が行えなかった臓器については、CT検査など他の手段でのさらなる検査をお勧めすることがあります。

検査は診察台に仰向けに寝て行うことが基本で、音波を当てる場所によっては横向きなどで行う場合もあります。検査中に息を吸ったり、吐いたりした状態での息止めを指示されることがありますが、それは狙った臓器を見やすいように動かしたりするためです。

手術を受けられたことがあったり、所見を以前に指摘されたことがある場合は、問診の際にお伝えいただくことで判定をスムースに行えます。初めての受診の際は是非いままでの経過をお話しいただけると助かります。ただし、症状があったり、日常生活に困っているときは無理して健診を待つのではなく、きちんと病院を受診することも大切です。

ここがポイント!
超音波検査は「やまびこ」と同じ原理!

「そもそも「超音波」とは、文字通り “音”を利用した検査法です。音とは物質の中を伝わる振動をいい、1秒あたり1回の振動を1Hz(ヘルツ)という周波数で表します。人間の耳に聞こえる音の範囲の周波数は、概ね20Hz~20kHz(1kHz=1,000Hz)と云われています。これより周波数が高く、人間の耳には聞こえない音を超音波と呼びます。その超音波を体外から身体の中に向けて当て、はねかえってくる超音波を電気信号に変換し、体内の状態を映像化して疾患の有無や臓器の機能等を調べる検査が超音波検査です。



また前回紹介しました「心臓ドック」においても、心臓の超音波検査を行っています。
心臓超音波検査は「ドップラー法」という検査法を用いておこないます。超音波のドップラー効果を応用して、血液の流れる方向や速度を知ることで血管の閉塞や狭窄の診断をおこないます。
ドップラー効果とは、音の発生源が移動する、あるいは観測者が移動することで観測される周波数が変化する現象のことで、わかりやすく例えると向かってくる救急車のサイレンの音は高く、通り過ぎていくと低くなる現象のことです。


心臓超音波検査で心臓の形が大きかったり、動きが悪かったり、血液の逆流がみられたりした場合は経過を観察する、胸部X線検査、心電図検査などのさらに詳しい検査を行なう、心臓カテーテル検査を行ない必要があれば治療をするといった対応がなされます。

検査の結果が要精密検査となった場合には必ず医療機関を受診しましょう。