今回は「便潜血検査」について知っていただきたいと思います。
便潜血検査は便中の目に見えない血液成分を検出することで消化管内の微量な出血を知る検査です。大腸がん検診の検査法として他に下部消化管内視鏡検査や注腸造影検査がありますが、便潜血検査は圧倒的に安全かつ簡便なため検診として優れています。また大腸がんの一次検診では、便潜血検査だけが科学的に有効であると証明された方法です。
1回だけでは偽陰性となることもあることから、発見率を上げるために2日間の検体を検査して判定する「2日法」が広く普及しています。
検査キットの説明に従って採取していただきますが、便がトイレの水と接触すると表面の微量な血液が流されて偽陰性になってしまったり、トイレ洗浄剤が反応に影響したりすることがあるのでキット付属の採便シート使用をおすすめしています。
また生理中は血液混入の可能性があるため採便はおすすめできません。
健診日までに採便できない場合は、当日受付にてお伝えください。病院によっては、後日窓口が空いている時間帯にお持ちいただくことで検査を実施することが可能な場合もあります。(対応については、病院毎で異なりますので受付時にお問合せください。)
採取後、時間が経ってしまうとヘモグロビンが変性してしまうため、検体として精度が落ちてしまいますので注意をよくお読みください。(採取後、できるだけ速やかに測定することが原則ですが、保存する場合は、冷蔵保存していただくことが望ましいとされています。)
ここがポイント!
検査の結果、1回でも陽性であれば「異常」ですので、必ず精密検査を受けるようにしましょう。
便潜血が陽性のかたから大腸癌が見つかる確率は2%とも3%とも言われます。決してゼロではありません。しかし、厚生労働省が2019年に行った「地域保健・健康増進事業報告」によると、便潜血検査が陽性の方の精密検査受診率は69.8%でした。他のがん検診の精密検査受診率は概ね80%を越えていますので、大腸がん検診の精密検査受診率が低く問題となっています。
「痔があるからそのせいだ」、「生理中だった」、「以前も引っかかって精密検査を受けたが問題なかった」などの理由でご自身を納得させてしまう方がいらっしゃいますが、これらの理由は大腸に問題がないことの根拠にはなりません。大腸がんのうち30%がこの検査をきっかけにみつかるとも言われ、その多くは早期がんです。
迷われている場合やわからない場合は、ご自身で判断されずに医師と相談することをおすすめします。
参考:
令和2年度地域保健・健康増進事業報告の概況(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/c-hoken/20/index.html
日本対がん協会
https://www.jcancer.jp/