今回は「脂質検査」について知っていただきたいと思います。
「脂質検査」は血液中にある脂質の数値を調べ、生活習慣病のひとつである「脂質異常症」を発見することが目的です。脂質異常を早期に発見しコントロールすることで、心筋梗塞・脳梗塞などの動脈硬化性疾患の発症を予防することが目標です。
それでは各項目について説明していきます。
「LDLコレステロール」は、コレステロールを肝臓から末梢の組織に輸送する働きを担い「悪玉コレステロール」とも言われます。過剰なLDLコレステロールが動脈の壁に蓄積することが動脈硬化につながっていくため、LDLコレステロールを高いまま放置すると危険です。
反対に末梢の組織の過剰なコレステロールを肝臓に運ぶことで、動脈硬化を防いでいくのが「HDLコレステロール」です。HDLコレステロールは「善玉コレステロール」とも言われ、多いほど良いとされています。
「中性脂肪(TG)」は体内でエネルギーとして使われる脂肪酸ですが、過剰にあると肝臓や脂肪細胞に蓄積され脂肪肝になったり、皮下脂肪の増加を招きます。中性脂肪(TG)の値は食事や飲酒の影響で大きく変動するため、食後10~12時間以上の空腹時に測定する必要があるとされています。
「総コレステロール(TC)」は血液中のすべてのコレステロールの総量を示しています。
近年では総コレステロール値から「善玉」であるHDLコレステロール値を差し引いた値を「Non-HDLコレステロール」と呼び、数値が高くなるほど狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患を起こしやすいことがわかっています。
Non-HDLコレステロールで評価すると、空腹時かどうかに左右されず、またLDLコレステロール以外の悪玉も見落とさずに評価できるという利点があります。そのため、Non-HDLコレステロールは2018年度からは特定健診にも導入されています。
脂質の異常は、40-50歳頃から目立ちはじめます。血管の中にあふれたコレステロールが血管の壁に蓄積していくことで動脈の壁が硬くなり、また血液の流れる部分が狭くなります。硬くなった血管が破れたら出血、血液が流れないようになれば梗塞となります。
脂質異常の原因は食生活によるものもありますが、家族性高コレステロール血症のように遺伝により若くして脂質が高い状態が続いている方もいます。
血管を硬くしていくのは脂質異常だけではありませんから、肥満がある方は体重をコントロールする、タバコを吸っている方は禁煙する必要があります。糖尿病や高血圧・慢性腎臓病などがある方はかかりつけの先生と目標値についてよく相談してください。
検査の結果が要精密検査となった場合には必ず医療機関を受診しましょう。
加えて・・・こんなオプションも!
アディポネクチン
アディポネクチンは善玉アディポサイトカインのひとつで「超善玉ホルモン」や「長寿ホルモン」とも言われます。しかし、このアディポネクチンは内臓脂肪の増加により分泌が減少する特徴があります。
酸化 LDL(MDA-LDL)
MDA-LDLは「真の悪玉」ともいわれている酸化LDLのひとつです。動脈硬化初期病変の形成と進展の中心的な役割を果たすことが報告されています。
sdLDL(small,dense LDL)
LDLコレステロールよりも動脈硬化のリスクが高い「超悪玉のコレステロール」を測定します。
これらの検査は以下の病院で実施しています。(※人間ドックのオプションとなります。)
※いずれも採血でわかる検査です。