膵機能検査

今回は「膵機能検査」について知っていただきたいと思います。
膵臓は、お腹の上の方、胃の後ろ側にある20センチメートルほどの細長い臓器です。炭水化物を分解する『アミラーゼ』やタンパク質を分解する「トリプシン」、脂肪を分解する「リパーゼ」といった消化酵素を含んだ膵液を十二指腸に分泌したり、「インスリン」や「グルカゴン」を血中に分泌して糖代謝を調節しています。
膵液は胃液で酸性になった食べ物を中和する弱アルカリ性の透明な液体で、1 日に約500~800ml 分泌されているといわれています。


人間ドックで測定される「アミラーゼ」にはでんぷんなどの糖分を分解する働きがあります。アミラーゼは膵臓、そして唾液腺(耳下腺)から分泌されます。
そのためアミラーゼが高い値となる病態には、急性膵炎や膵がん、膵のう胞などのほか耳下腺炎などもあります。
急性膵炎は、アルコールや胆石が引き金となって、膵液自身が膵臓を消化してしまうことで起こります。激しい腹痛と、吐き気、熱などが特徴です。
慢性膵炎は、アルコールの過剰摂取が原因であることが多いとされます。じわじわと膵臓が壊れていくことで、腹痛症状は徐々になくなりますが、消化機能や糖の調節能力が低下していきます。


また膵臓はインスリン分泌を行う唯一の臓器のため、急激な糖尿病の発症や、血糖コントロールの悪化の裏側に、膵がんが隠れていることもあります。膵がんは50~70歳、男性に多いとされています。

アミラーゼが高値でも心配ない状態の方もいらっしゃいます。
「マクロアミラーゼ血症」といい、アミラーゼに免疫グロブリン(抗体として働くたんぱく質)がくっつくことで大きくなってしまい、腎臓から尿に排泄できなくなってしまう体質の方です。
その場合、尿中のアミラーゼは低くなります。尿でアミラーゼが排出できなくて血中のアミラーゼが高値になっているだけですから、病的なものではなくあくまで体質なので気にする必要はありません。

ただしマクロアミラーゼ血症か否かを判断するのも詳しい検査が必要になるため、検査の結果が要精密検査となった場合には必ず医療機関を受診しましょう。