今回は「血圧検査」について知っていただきたいと思います。
血圧とは心臓から送り出された血液が動脈の内壁を押す力のことです。 血圧は体のすべての血管にありますが、人間ドックや健康診断において血圧は上腕で測定します。
心臓の高さに近い上腕部での測定値が最も安定するとされており、歩いたり飲食したりすると血圧は容易に上昇します。ですから血圧測定時には椅子などに腰掛け、数回深呼吸しリラックスしてから測定するとよいでしょう。
心臓は収縮と拡張を繰り返して血液を動脈に送り出しており、それに合わせて動脈の中の血圧も収縮、拡張に応じて上がったり下がったりします。動脈の血圧が心臓の収縮により最高に達したときの値が「最高血圧(収縮期血圧)」、心臓の拡張により最低に達したときの値が「最低血圧(拡張期血圧)」といいます。
高血圧状態において血管はいつも張りつめた状態におかれます。リラックスできるはずの家庭でも血圧が高いのであれば、血管や心臓は休む時間がないことになります。次第に血管の壁が厚く、硬くなっていき、動脈硬化へとつながります。さらに、脳卒中、心筋梗塞、大血管障害、慢性腎臓病などの生活習慣病になる可能性や死亡率を高めますので、血圧は毎日の生活の中できちんと管理されなくてはなりません。そのため、診療においては、家庭での血圧(家庭血圧)が大事になるとともに、禁煙、減量、他の生活習慣病の管理が必須となります。保健指導において皆さんに家庭血圧の測定をお勧めするのはこの理由からです。
日常生活において注意すべき項目のひとつとして塩分摂取量が有名です。
塩分をとり過ぎると体内に水分が蓄積し、血流量を増加させます。これにより血圧が上昇します。ですから血圧が高いと判定された方は、食塩制限(6g/日)を指導されます。
令和元年の『国民健康・栄養調査』では日本人の食塩摂取量の平均値は10.1g(男性10.9g、女性9.3g)で、この10年でゆるやかに減少してはいます。とはいえ厚生労働省の日本人の食事摂取基準では成人男性は7.5g未満、成人女性は6.5g未満が目安とされていますので、まだ多いようです。ちなみに年代別でもっとも塩分摂取量が高いのは男女ともに60歳代でした。
日本人の食塩摂取量に最も関係しているのは『醤油』といわれており、これに漬け物、味噌汁、魚の干物、ラーメンの汁などが続くようです。塩味は慣れとも言われており、薄味の食事に慣れていくことが大事かもしれません。レモン、柚子などの柑橘類や酢の酸味を利用してみたり、しそ、ミョウガ、ハーブなどの香りある野菜の風味を利用することで、食塩摂取を少し減らすことができるといいですね。
加えて・・・こんなオプションも!
血圧脈波検査(動脈硬化検査)
血管の硬さや詰まり具合を測定し、動脈硬化の進行度を知ることができます。
左右の上腕部・左右の足首にベルトを装着し、四肢の血圧を同時に測定します。痛みはなく、所要時間は5~10分程度です。
血管の硬さの程度をCAVI(キャビィ)という数値で表し、血管の詰まり具合をABI(エービーアイ)という数値で表します。足首と上腕の血圧を測定しその比率を計算することで、動脈硬化の進行度を調べます。
血圧脈波検査は以下の3病院で実施しています。(※人間ドックのオプションとなります。)
水戸協同病院
県北医療センター高萩協同病院
なめがた地域医療センター